『カシミール織物後編』

2014/01/02
writer： Moto
- 買付や原産国について

『カシミール織物後編』

Natural Loungeのモトです。

完全に世界史の勉強になってしまっているこのカシミール織物シリーズ。いよいよ今回で完結です。

その地に足を踏み入れるまでの道のりは非常に険しく侵入者を拒むように山々が連なる。その豪猛な山々は風光明媚な景観、花々や果実の豊富な環境を育む。

カシミールは、16世紀まで外界との交流を拒み独自の文化を作り続け、穏やかで粘質性のある人々は世界を代表する織物を作り続けてきた。そしてその織物は陸また海のシルクロードから西はヨーロッパ、東はアジアへ送り出された。

その布の優れた風合いと華やかな文様は、またたくまに世界中の貴婦人達の心を捉え世界中に広がった。

「カシミールで産まれる極上の織物」

カシミールストールが世界的な名声を得たのは、その魅力的な文様、精巧な綴織や刺繍などの技術が群を抜いていたからです。

実際にストール生産で生計をたてている村を訪れると、女性は羊毛の繊維を撚って糸をつくり、男性の職人がまるで楽譜のように細かく書かれたデザインを指示する用紙を一つ一つ確認しながら、横糸を通して織って行きます。その仕事は大変繊細で、１枚が仕上がるのに１年かかるものもあるそうです。

またカシミールには、ストールやショールの他に絨毯もあります。カシミール絨毯はペルシャ絨毯同様世界で認められた高級絨毯の一つです。

カシミール絨毯の歴史もまた非常に古く何千年も前からその技術は受け継がれてきました。職人達がシルク糸一本一本編んで行くそれは、ただの布ではなくまるで芸術品です。見る角度により異なる輝きをみせるこの高級絨毯もまた世界中の人々を魅了しています。

こうした環境、技術、デザイン等一つ一つが上質なストールが産まれる理由です。

そしてそのストールは今もなお、世界中の人を虜にしており、
イタリア有名ブランドETROの創設者ジンモ・エトロもその一人です。
彼もまたこのカシミール織物に惹かれ、カシミール紋様を用いた作品を世界に発信しています。

多くの人々から愛されているカシミールの織物は、
このように古くから培われた技術と、前編、中編でもお話ししたインド特有の文化がこうした環境をうみ世界でも有数の織物に育ちました。

そして今日もたくさんの素晴らしい織物を世界中に送り出しています。

こうした商品の持つストーリーもあなたのファッションの1部に取り入れて頂ければ嬉しく思います。

PS:現在Natural Loungeがあなたに紹介させて頂いている商品は手織りではありませんが、その技術を持ったカシミールの職人が日本ではビンテージ織機と言われる機械を用いて、1枚１枚丁寧に作り上げているものになります。

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Profile

Moto

1983年長野県生まれ。木曽在住。
Natural Lounge副代表、バイヤー。
気がつけばストールの奥深さに魅了され、世界中のストールを探している。
様々な国のストールを扱う中で、誰が、どんな場所で、どのように作っているのか、
現地訪問し生産者と直接対話して買付をするのがモットー。
特にインド人、イタリア人との相性は抜群。

趣味は地元である木曽で、キノコ採りや山菜採り、渓流釣りをして四季を満喫すること。
20代、30代と海外の様々な場所を訪れた経験から、今は地元に魅力を感じ地域の活動にも力を入れている。
あなたがつい”クスッ”と笑ってリラックスできるようなブログをお届けしたいと思っています。